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 2月の旅人


今こそ英国人のライフ・スタイルに学ぶ時







 エリザベス・アカデミーを主宰する

 長谷川洋子さん



 ガーデニングがブームである。庭園と紅茶の国−−英国と切り出したら

 「私たち英国センターは、英国の文化とライフスタイルを学ぶことによって、英国に親しみ英国をよりよく理解してもらうための、いわば情報発信基地です」と、開口一番強烈なパンチがはねかえってきた。単なるマナー教室でも教養講座でもないという。

 バラの花を代表とする庭いじりも午後の紅茶に代表されるティーパーティも、英国淑女の優雅な生活を体験する格好の舞台。その優雅な英国式淑女のたしなみを楽しみながら教える新しい形の学校でありセミナーの開講と念を押そうとしたら、単なる英国式教養を身につけることではないという答えが返ってきた。

 では、何故英国式マナーなのか?


 「たとえば食事の心得。テーブルマナーがどうのこうのというより、ファーストコースでは右手の人と次は左手の方とお話をするということと、その日みんなの前で披露する話題をひとつ用意して出席するという基本的なルールがあって、そのことによって初めて出会う人達でも、自然にかつスムーズに和気藹々としたコミュニケーションを楽しむことができるようになる。小さなことですけど英国が生み出してきた生活の知恵といってもよいと思うの」。納得。こうすれば初めてのところに呼ばれてしばしば体験する、あの気まずい雰囲気も殆ど生まれなくなる。

 「英国の母親は子供に何か渡す時でも『ありがとう』の一言がないと言うまで、渡さない。兎に角、何かをしてもらったら必ずありがとう、肩が触れ合ったら必ず『失礼』の一言を徹底的にたたき込まれて育てられる。かつて古い日本にはそういう美徳もあったのでしょうが、今は電車の中で足を投げ出し恥じ入ることひとつない」

 英国式ライフスタイルを学ぶことは、現代日本が忘れてしまった社会人としてのルールやソフトを思い起こすことでもある、という。


 青山学院大学を卒業してエジプトのアレキサンドリア大学夏期セミナーに参加、帰路ロンドンに寄ったのが英国との初めての出会いだったが、思うことあって音声学の勉学のために今度はロンドン大学に留学、卒業と同時に英国政府観光庁に入省、四半世紀にわたりただひたすら日本人に英国観光の魅力を売り込むことに従事する。

 「英国観光など全く眼中になかった。初代日本局長のハミルトンさんという方の音声が素晴らしくて、それに惚れて就職したらそれが観光庁だった」。

 もちろん、英国といえば紳士の国。特に日本のマーケットでは男社会の象徴的な存在であった。

 その紳士の国・英国を女性マーケットを狙って淑女の国にイメージ転換を狙って打ち出されたのが、85年に始まった「Tea & Rose」(午後の紅茶とバラの国、英国)や「レディースブリテン」キャンペーン。長谷川さんはマーケティング・マネージャーとして「ティー&ローズの国・英国」を掲げその先頭にたって、東奔西走した。そしていま英国は、ショッピングとミュージカルのロンドンをはじめ、湖水地方やコッツフォードの優しく美しい自然の魅力など、若い女性に人気のある女性向きの海外旅行地として見事な成功をおさめることになる。

 が、公的な機関ではそれ以上のきめ細かな英国とのつき合いは限度があると悟り、お役人としての英国政府観光庁勤務を脱サラ、身銭を切って自ら英国センターを設立、ビジネスベースでの「英国情報発信業」を立ち上げることになった。


 「何事も自ら出向いていって確かめないと気が済まない性格だから、今では英国人以上にある面での英国通と自負している。表面的な一般的な英国情報は溢れているけど、本当に役に立つ肝心の草の根的な情報は民間企業のきめの細かさでないと集まらない。何より個人主義が確立した大人の国である英国のライフスタイルを、さまざまな機会を使い発信して行きたい。贅沢は言わない。志が継続できればそれでいいと思う」。

 その具体的な情報発信策として96年秋にはじめた「エリザベスアカデミー」は、回を重ねるごとに種類も回数も増加、東京会場で定期開催するほか大阪や名古屋や福岡などでも出張開講している。

●気品と伝統のある英国のマナーを紹介する「マナー専門コース」
●一般ツアーでは経験できない「Enjoy Britain:英国がもっと楽しくなる旅」
●英国のライフスタイルを満喫する「British Life Style:英国の生活文化」
●豊かな自然を満喫する「Green Holiday:自然にやさしいホリデー」
●世界に誇る英国庭園コース「English Garden:英国の庭園について」
●伝統の紅茶コース「Tea History/tea Party:紅茶の歴史やティーパーティ」
などなど。

 時には、セミナーの生徒を連れて自ら添乗・解説するから、受講生に好評だ。


 そして、最近ではコート(右写真)やセーター、香水ビンなど英国センターが選んだ英国の優れものを仕入れ販売するほか、エリザベース・コレクションの名でティーパーティーにちなんでセンターが独自に開発する新商品の販売も始める。そして6,000枚にのぼるフォトライブラリーの開設や英国に関するPRやイベント企画引き受けなど、要するに英国のことなら観光に限らず何でも引き受けますという、英国センターなのである。

 この4月から始まる日本の金融ビッグバンは言うまでもなく、英国が先輩であり先生。いい意味での個人主義が徹底し大人社会の英国に比べ、護船団方式で自己責任観念の乏しい日本が果たして無事ビッグバンを成功させることができるのか、危ぶむ声は絶えない。

 英国センターの提唱する英国のライフスタイルを学ぶことがまず先決なのかも知れない。


(構成:高梨 洋一郎)


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